刺しゅうが装飾美術の仲間入りをするためには

デザインのほか、どんなステッチを選ぶかがたいせつである。

ランニング、ダブルランニング、バック、ステム、スプリット、チェーンなどの線刺しゅう用ステッチ、クロス・ステッチなどの十字形、ゴブラン、ロングアンドショート、サテン、カウチングなどの面(めん)刺しゅう用ステッチを併用することによって効果を増そうという試みが、それぞれの時代の特徴を生んできたといえよう。

しかし、アップリケやキルティング、パッチワークのように、地布に異なった別の平面を加工することによって効果を生み出す手法もある。

刺しゅうは、このように装飾美術としての性格を強くもっているが、地布を補強するというような、実用目的のための機能性とけっして無縁のものではない。

装飾と機能が一体となっているところに刺しゅうの魅力があるといっても過言ではなかろう。